1.コープさっぽろについて
日本各地に生協があって、日用品の買い出しに利用している方も多いでしょう。地域生協の中でも全国第2位の規模を誇るのが、今回紹介するコープさっぽろです。札幌市に本部を置くコープさっぽろは、組合員数130万人を誇り、道内に99店舗を展開しています。事業高は2,300億円を誇ります。
コープさっぽろは今では国内第2位の規模を誇る生協ですが、1990年代後半にはバブル期に行われた大型複合店舗の房が膨らみ、自力再建が不可能な領域に入ったことがありました。しかしそういった窮地から彼らは奇跡的に脱し、復活劇を遂げました。この存続危機から全国第2位の規模まで押し上げていった功労者が、理事長である大見英明氏といわれています。大見氏はその先見性と即断の実行力が業界内外から注目を集めています。
1-1.コープさっぽろ 概要
- 名称:生活協同組合コープさっぽろ
- 創立:1965年7月18日
- 本部所在地:札幌市西区発寒11条5丁目10番1号
- 電話番号:011-671-6620
- 出資金:87,309,263千円(2023年3月20日現在)
1-2.コープさっぽろ 公式ホームページ
2.大見英明氏のプロフィール
大見英明氏は1960年、愛知県に生まれました。北海道大学教育学部を卒業後、1982年にコープさっぽろに入協しました。ルーシー店長や水産部長、生鮮本部長、理事商品本部長、常務理事、専務理事を歴任します。その後2007年には理事長に就任し、現在に至ります。他にも日本生活協同組合連合会の常任理事も務めています。
大見氏は、コープさっぽろは単の窮地を救った人物として知られています。パートに至るまで危機感を共有するような仕掛けや取引業者への情報公開、協業の徹底などの経営改革を推し進めました。その軌跡の復活劇によって、2007年にはCRMベストプラクティス賞・大星賞を受賞しています。
3.大見英明氏の積極的な事業展開
コープさっぽろが破綻の危機から脱して、日本屈指の生協に発展したのは大見氏の経営手腕によるところが大きいでしょう。大見氏はこれまでにさまざまな経営改革を推し進め、新しいサービスなどもどんどんプロデュースしています。その中でも彼の手掛けた主要な事業について、ここで詳しく見ていきます。
3-1.宅配サービスの「トドック」
コープさっぽろではトドックと呼ばれる宅配サービスを、2006年よりスタートしました。2021年にサービス開始15年を迎えています。利用者は着実に増加しているとのことで、2021年現在約43万世帯になっています。
コープさっぽろでは共同購入による配達事業を行っていました。しかしこの場合、最低3世帯集まらないと配達してもらえない仕組みになっていました。このため、この配達サービスを利用するために家族3人がそれぞれ別々に組合員になるケースも少なくありませんでした。それならば一軒一軒回って配達するサービスにすればよいとして、トドックがスタートしたわけです。
このトドックは、コロナ禍で重宝されるサービスになりました。コロナ禍では不要不急の外出は自粛するように言われ、おうち生活が続きました。このため、わざわざお店に行く必要のないトドックが機能しました。2020年には1,000億円の売り上げを記録したといいます。新規利用者も2020年の1年間で3万世帯も増えたといいます。
3-2.SDGsを重視した事業展開
「持続可能な開発目標」のSDGsは一般にも広く浸透した言葉です。コープさっぽろでもこのSDGsの試みを大見氏中心に進めています。特にプラスチック製品の完全リサイクルを目標に掲げているのは、大きな特徴といえます。コープさっぽろの中で約80店舗にて、プラスチック製品の専用回収機を設置しています。プラスチックのリサイクルが追求されるようになったのは、プラスチックごみの海洋流出問題があるからです。この問題は消費者のポイ捨てがなくならない限り解決しません。
そこでコープさっぽろでは2021年10月に「海のクリーンアップ大作戦」を実行しました。道内44か所の海岸を対象に、プラスチックごみの回収を行う活動です。その結果、合計で約2,400袋分のプラスチックごみを回収しました。このように地球環境に対しても高い関心を有しています。
4.まとめ
コープさっぽろは一時期経営危機に瀕しましたが、大見氏を中心として従業員の高い危機意識によって経営改革が進み、窮地を脱することに成功しました。今では日本全国第2位の規模の生協にまで回復しましたが、大見氏は決して慢心していません。トドックをはじめとして、消費者が快適に利用できるようなサービス作りを推し進めています。今後も時代の変化によって、消費者のニーズも変わってくるでしょう。大見氏を中心にコープさっぽろはそのような変化にも、フレキシブルに対応できるでしょう。